リトグラフは、 18 世紀にドイツで発明された版画形式で、水と油 との反発作用を利用して絵の具を付着させるものです。石板や亜鉛板の上に脂肪性の強いクレヨンやインクで作りたい図柄を描き、版上に化学的処理を施すと、版上の図柄の部分にはインクがのり、その他の部分にはインクがのらないようになります。それに紙を当ててプレス機で図柄を写しとるとリトグラフのできあがりです。

他の版画形式の木版画や銅版と異なって凹凸をつくることなく版画制作ができるところから、平版形式の版画といわれています。現在の印刷技術のーつとして用いられているオフセット印刷は、この平版の原理を応用したものです。

リトグラフは、他の版画形式と比べ、難しい技術がいらず、自由に描いたものがそのまま作品化できますので、多くの画家達に版画を作る機会を与えたといえるでしょう 。

また、19世紀には、広告文化の興隆にともなって多くのポスターなどにも利用されています。 ゴヤやドラクロワは、この方法によって芸術性の高い作品を残していますし、これを応用した多色刷りのリトグラフの技法で、ロートレックは美しい作品を数多く残しています。 また、ピカソ、マチス、ミ口、シャガール、ルオーといった 2O世紀の巨匠たちも積極的にリトグラフを手がけています。

さて、ここでいうリトグラフとは、オリジナルリトグラフ のことであり、複製画とはまったく違うということをご理解願います。

すなわちオリジナルリトグラフ とは・・・
@ 版画を制作する目的で、作家が下絵を描き、作家自身が、木版、銅版、石版、孔版などを自刻 ( 製版 ) したもの 。
A 作家自身が自分の手で刷ったり、機械 ( プレス ) にかけて刷ったりした作品。もしくは、作家の監督下で職人がその指示通りに刷ったもの 。
B 完成した作品の一枚一枚を作家が容認したもの 。
C 完成した作品の版画左下に限定番号 ( エディション・ナンバー ) を、右下に自筆署名したもの ( 例外もある )。
D あらかじめ決めた限定部数を刷り終わった版には、斜線一本か〆印を入れ、あるいは版に穴をうがつなどして原版を廃版 ( レイエという 。 レイエは、海賊版や、作家が監修しないで刷りものが出ることを未然に防ぎます ) にしたもの 。
・・・ということになります。
したがって、「リトグラフ」は、複製画と違って価値があり、新しいインテリア・アー トとしても脚光をあびるようになったといえましょう 。